近年、AIチャットは「質問に答えるだけ」の存在から、実際に作業をこなすパートナーへと進化しています。その代表例が、2025年にOpenAIが提供を開始した「ChatGPTエージェントモード(Agent Mode)」です。
エージェントモードを使えば、ウェブ検索や資料作成、コード実行、外部サービスとの連携まで、あなたの指示ひとつで自動的に実行してくれます。旅行の計画やショッピングはもちろん、ビジネスのリサーチやデータ集計も、チャットのやり取りだけで完結可能です。
本記事では、ChatGPTエージェントモードの概要・主な機能・使い方・活用事例・注意点をわかりやすく解説します。初めて触れる方はもちろん、すでに使い始めている方でも「もっと便利に使えるヒント」が見つかるはずです。
ChatGPTエージェントモードとは
ChatGPTエージェントモード(Agent Mode)は、OpenAIが2025年7月に正式提供を開始した新機能で、ChatGPTが単なる会話相手ではなく、実際に作業を実行するエージェントとして動作するモードです。
従来のChatGPTは、ユーザーの質問や依頼に対してテキストで回答することが中心でした。しかしエージェントモードでは、ブラウザを操作してWebサイトから情報を収集したり、コードを実行してデータを処理したり、外部サービスと連携してタスクを完了することが可能になっています。
2.1 従来機能との違い
エージェントモードは、以前提供されていた以下の二つの機能を統合・進化させたものです。
- Operator:ウェブサイトの操作やフォーム入力など、オンライン上のタスク実行に特化した機能
- Deep Research:複雑な調査や長時間かかるリサーチを自動で行い、結果をまとめる機能
これらが一つのモードに統合されたことで、調査から実行までをシームレスに行えるようになりました。モード切り替えの必要がなく、依頼内容に応じて最適な動作を自動で選択します。
2.2 対応プランと提供開始日
- 2025年7月17日:Plus、Pro、Teamプランで提供開始
- 2025年8月8日:Enterprise、Eduプランにも拡大
主な機能一覧
ChatGPTエージェントモードでは、複数のツールと機能が統合されており、指示に応じて最適な操作を自動で実行します。ここでは代表的な機能を紹介します。
Webブラウジング(ビジュアルブラウザ/テキストブラウザ)
エージェントモードには、Webサイトを直接操作できるブラウザ機能が搭載されています。
- ビジュアルブラウザ:実際のWebページを見ながらリンクをクリック、フォーム入力、情報コピーなどが可能
- テキストブラウザ:HTMLを解析し、テキストベースで情報を抽出する軽量モード
例えば、「最新の為替レートを調べてスプレッドシートにまとめて」と依頼すれば、Web検索から表作成まで自動で行います。
👇実際にエージェントモードで為替レートを調べてもらっている際の様子

コード実行・データ分析(コードインタープリター/ターミナル)
エージェントモードには、Pythonなどのスクリプトを実行できる環境が用意されています。
- コードインタープリター:データ加工、統計分析、グラフ作成などに対応
- ターミナル:システムコマンドを実行して環境設定やファイル操作が可能
これにより、手元で環境を整えなくても、ChatGPT上で高度な分析や処理ができます。
Connectors(外部サービス連携)
GmailやGoogle Drive、GitHubなどの外部サービスに接続して、情報取得やデータ処理を行えます。
- Gmailのメール一覧を取得して要約
- Google Driveのスプレッドシートから特定のデータを抽出
- GitHubのリポジトリをクローンして解析

スケジュール実行
特定のタスクを定期的に自動実行するスケジュール機能も搭載されています。
- 例:「毎朝8時に最新の株価を調べて報告」
- 例:「毎週月曜に天気予報とGoogleカレンダー予定をまとめて送信」
設定後は、ChatGPTが指定時間にタスクを実行し、結果をチャットに送ってくれます。
ChatGPTエージェントモードの使い方
エージェントモードは、通常のチャットと同じ画面から利用できます。ここでは起動方法から実行の流れ、スケジュール設定までを解説します。
起動方法
方法1:ツールメニューから選択
- ChatGPTのチャット画面を開く
- 画面上部または左側のツール一覧から「エージェントモード(Agent Mode)」を選択
- モード切り替え後、そのまま依頼を入力

方法2:「/agent」コマンドで呼び出し
チャット欄に/agent
と入力すると、モードが起動します。
モード切り替えが完了すると、画面上に「Agent Modeが有効」の表示が出ます。
基本操作の流れ
- タスクを依頼
- 例:「最新の為替レートを調べて表にまとめて」
- 例:「最新の〇〇に関するニュースをまとめて」
- 実行と進捗表示
- 実行中は進行状況が画面に表示されます。
- 中断したい場合はキャンセルボタンで停止可能。
- 結果の受け取り
- 実行が完了すると、結果がチャット内に表示されます。
- 必要に応じて追加指示を出して、再度処理を続けられます。
スケジュール設定の手順
- エージェントモードでタスクを依頼(例:「毎朝9時に最新の株価を調べて」)
- ChatGPTがスケジュール化の可否を確認
- 承認すると、指定時間ごとに自動で実行され、結果がチャットに届きます
活用事例
ChatGPTエージェントモードは、単なる質問応答を超えて、実際の作業を自動でこなすことができます。ここでは、日常生活・ビジネス・開発の3つの領域での活用例をご紹介します。
日常生活での活用
- 旅行計画の自動化
「来月の京都旅行の2泊3日プランを作って、ホテルも予約候補をリストアップして」と依頼すると、観光地の情報収集から宿泊先候補の提示まで自動で行います。 - オンラインショッピング支援
「5,000円以内で人気のBluetoothイヤホンを探して」と依頼すれば、複数サイトを比較して条件に合う商品をまとめます。 - レシピと食材注文
「今夜はカレーを作るからレシピと必要な食材のオンライン注文をお願い」といった依頼も可能です。
ビジネスでの活用
- 市場調査とレポート作成
競合他社のサービス内容や価格をWebから調査し、ExcelやGoogleスプレッドシートに自動で整理。 - プレゼン資料作成
「最新の生成AI市場動向について10枚程度のスライドを作成して」と依頼すると、調査→スライド生成までを自動化します。 - 週次業務報告の自動化
社内のデータベースやGoogle Driveのスプレッドシートを参照し、定期的なレポートを作成・共有できます。
開発・分析での活用
- コード解析と修正提案
GitHubリポジトリを読み込み、コードのバグや改善点を分析。 - データ分析
CSVファイルをアップロードし、Pythonで統計処理や可視化を実行。 - 自動レポート生成
定期的に最新データを取得してグラフ化し、PDFやスライドとして出力。
このように、エージェントモードは調査・実行・成果物作成までを一気通貫で行えるため、作業効率を大きく向上させます。
注意点
エージェントモードは非常に便利ですが、利用にあたってはいくつかの制限やリスクがあります。ここでは、特に意識しておくべきポイントをまとめます。
個人情報や機密情報の取り扱い
- 外部サービスにログインする場合、IDやパスワードの入力は慎重に行う必要があります。
- 機密性の高いデータ(顧客情報、社内資料など)をエージェントモードで直接扱うのは避けるのが安全です。
外部サイトへのログイン制限
- 一部のWebサイトはセキュリティ上の理由から、エージェントモードによるログインや操作ができません。
- 特に決済や会員専用ページは、操作が途中でブロックされる場合があります。
購入・決済の制限
- Amazonや楽天などのオンラインショップでの注文確定や支払いは、多くのケースで実行できない仕様になっています。
- 商品探しやカート追加までは可能でも、最終購入は手動で行う必要があります。
実行結果の精査が必要
- 実行内容や取得データが100%正確とは限りません。
- 特にWebサイトからの情報は更新頻度や表示仕様の影響を受けるため、結果を必ず人間が確認することが重要です。
実行中の誤動作や中断
- ネットワーク環境や対象サイトの応答遅延により、処理が途中で止まることがあります。
- 複雑なタスクや長時間の操作は、分割して依頼すると成功率が上がります。
安全に使うためのポイント
エージェントモードを安心して使うには、事前設定・依頼の仕方・確認作業の3つが重要です。以下のポイントを押さえておきましょう。
必要なコネクターのみ有効化
- GmailやGoogle Driveなどの外部サービス連携(Connectors)は、本当に必要なものだけを有効化しましょう。
- 不要なコネクターをオフにすることで、データ流出のリスクを減らせます。
実行前にタスク内容を確認
- 特に購入や送信などの操作は、エージェントが実行前に内容を提示してきます。
- 確認画面を必ずチェックし、意図通りかを見極めてから承認します。
機密データはアップロードしない
- 社内資料や個人情報を含むファイルは、アップロードや処理を避けましょう。
- 必要に応じて、匿名化・一部加工したデータを使用します。
複雑な作業は段階的に依頼
- 大きなタスクを一度に依頼すると、途中で失敗するリスクがあります。
- 小さなステップに分けて依頼すれば、精度が向上しトラブルも減らせます。
実行後の結果を必ず確認
- 取得したデータや生成された資料は、誤情報やフォーマット崩れがないかをチェックします。
- そのまま提出・共有するのではなく、必ず人間が最終確認することが推奨されます。
まとめ
ChatGPTエージェントモードは、AIとの会話から一歩進んで、実際の作業を自動で実行するパートナーとして活躍する新機能です。
Webブラウジングやコード実行、外部サービスとの連携、さらにはスケジュール実行まで、幅広いタスクを指示だけでこなせる点が最大の魅力です。
一方で、
- 個人情報や機密情報の取り扱い
- 外部サイトへのログイン制限
- 実行結果の精査
といった注意点もあり、使い方を誤ると情報漏洩や誤操作のリスクが伴います。
安全に使うためのポイント
- 必要なコネクターだけを有効化
- 実行前の確認と、実行後の結果チェック
- 複雑な作業は小分けに依頼する
これらを守れば、エージェントモードは日常生活からビジネス、開発まで幅広く活用できる強力なアシスタントとなります。
今後のアップデートにより、ログインや購入制限の緩和、より多彩な外部連携が可能になることが期待されています。
まずは小さなタスクから試し、少しずつ業務や生活に組み込むことで、その真価を体感できるでしょう。
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